The Rainbow Children

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Rainbow (The Rainbow Children)

See them fly, fly (The Rainbow Children)

The covenant (The Rainbow Children)

"I am" (The Rainbow Children)

Son of Man (The Rainbow Children)

Sheba (Muse 2 the Pharaoh)

Proverb of the 31 and verse 10 (Muse 2 the Pharaoh)

NATO is OTAN (Muse 2 the Pharaoh)

13 (Muse 2 the Pharaoh)

Like a thief in the night / My Lord come and strike (Muse 2 the Pharaoh)

Love, like a rose in bloom (Digital Garden)

whosepapers, hellavisions, and scagazines (The Work pt.1)

Menda-City (The Work pt.1)

Garden (The Work pt.1)

Eve (The Work pt.1)

Where the milk and honey flow (Everywhere)

THE TREASURES OF THE RAINBOW CHILDREN (Wedding Feast)

smorgasbord (Wedding Feast)

ONE CANNOT SERVE 2 MASTERS (Family Name)

Tom Lynch (Family Name)

Did we really come over in a boat? (Family Name)

Thanksgiving Day (Family Name)

Thomas Jefferson (Family Name)

2 them u're still a spade (The Everlasting Now)


rainbow Rainbow (The Rainbow Children)

 「虹」は神の許しの象徴、と信じられています。元々、旧約聖書のノアの箱船の話の最後に神が人間への祝福の印として虹をかけ、二度と生き物を滅ぼさず、全ての生き物を救うという約束をしたというくだりからきています。
 また、虹がいろいろな色を持つと言うことから、「多民族から成る」という限定的な意味も持つようになっています。1970年代から提唱された政策のひとつに、多文化主義と言うものがありますが、その流れを組み、ジェシー・ジャクソン牧師が1984年の大統領予備選に「Rainbow Coalition(虹の連合)」をスローガンにしています。その主旨は民族や少数集団それぞれがもつ文化の多様性を尊重しつつ、お互いに同化や融合することなく連合を図ることでした。
 虹は「7色」ある、というのが日本では義務教育によりすっかり浸透していますが、欧米ではなぜか(ちゃんと学校でならうにもかかわらず)6色で言われることがよくあります。外側から赤、オレンジ、黄色、緑、青、藍、紫になるはずですが、この青〜藍〜紫の区分けが難しいようです。  歌詞では「虹の彼方に追放された元妻+5人」というフレーズがあり、一瞬「色の象徴かな?」と思えて面白いです。

(11/20/2001)
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See them fly, fly (The Rainbow Children)

人が空を飛ぶ話、と言うのはちょっとめずらしいのでアフリカン・アメリカンの昔話を紹介しておきます。
奴隷制時代が始まった頃、黒人はアフリカから奴隷として小さな船で見知らぬ大陸に無理矢理連れられて来ました。ところが、そんな奴隷となってさらわれてきた人々の中に若い祈祷師がいました。彼は賢く、神から授かったいろいろな知恵や秘伝を学んでいましたが、まだ若かったのでその知恵や知識を自分のものとするにはまだ時間を必要としていました。
一方、奴隷となった黒人達はその祈祷師も含めある農場の畑に送られ、過酷な労働を強いられていました。病気で倒れる者にも容赦なく笞が浴びせられました。
ある日、疲労で倒れた黒人に白人がむちをもって近づこうとした時、その祈祷師が「今だ」と叫び、不思議な呪文を口にしました。すると、倒れた黒人は腕を翼のように広げて空に舞い上がり、飛んでいってしまいました。それを合図に、他のアフリカ人も全員が腕を広げて次々と空に飛び立ち、遠い故郷に帰っていきました。
いつか、黒人は神から授かったその魔法の言葉を思い出して空に飛び立ち、苦労から解放される、とその昔話は締めくくられます。

(12/03/2001)
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The covenant (The Rainbow Children)

「契約」と辞書には載っていますが、通常は人間と神が結ぶ宗教的な契約を指し、「聖約」として訳語をあてられていることもあります。聖書の「旧約」「新約」の“約”はこのcovenantを指しています。
人間は神と取り引きをし「人間がこれらを守れば、神は人間にたいしてこういうことをしてくれる」という契約をかわしている、という考え方がキリスト教圏の思想の根底にあることを示しています。
プリンスはcontract(契約)が大嫌いなことで有名ですが、こちらの方はビジネスの取り決めを記すための契約のみを指しています。

(12/10/2001)
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"I am" (The Rainbow Children)

「神の名前は何か」という時に、出エジプト記からよく引用される言葉です。
モーセが荒れ野の山の上で神の声を聞き、イスラエルの民を連れてエジプトを去るように言われた時のエピソードです。“その神の名は何か”と皆に聞かれるだろう、その時にはどう答えればよいか、と神に問うモーセに、神はこう答えます。

And God said to Moses, "I AM WHO I AM."And He said, "Thus you shall say to the children of Israel, "I AM has sent me to you."'(Exodus 3:14、NKJ)
−神はモーセに、「わたしはある。わたしはあるという者だ」と言われ、また、「イスラエルの人々にこう言うがよい。『わたしはある』という方がわたしをあなたたちに遣わされたのだと。」 (新共同訳)

この、"I AM WHO I AM."の文はヘブライ語の曖昧で独特な文、ェヒィェ・アシェル・ェヒィェ という発音からなる言葉から翻訳されていますが、曖昧さが曖昧さを呼んだ結果、新共同訳では「わたしはある」(?)になっています。他に「そうなるであろう者」または「ありてある者」と訳してある版もあります。おそらく、こちらの方がピンとくるかもしれません。まるで、どこかのオヤジさんが 家に帰った時に、その奥さんに向かって「お゛ーい、俺だ」と言うように、名前は必要としないことを示唆していることが想像されますが、これが西欧圏では「マジにいったい、誰よ??」という大問題になっています。

(11/29/2001)
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Son of man (The Rainbow Children)

「人の子」と訳します。今回は旧約聖書の世界がテーマになっていますが、そのうちのひとつ「ダニエル書」で、最後の審判の時にメシア(救世主)が現われ、全てを明らかにすると預言されています。
この人物は、神の子であると同時に、人間であることになっているため、このように、「The Son of man-人の子」と英語では頭文字を大文字にし、わざわざ区別して表記されています。元々は単に人間を意味していましたが、黙示思想が流行るにつれメシアそのものを意味することになりました。キリスト教では、イエス・キリストが預言で示されたメシアであるとしていますが、ユダヤ教ではメシアはまだ到来していないとされています。

(11/29/2001)
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Sheba (Muse 2 the Pharaoh)

賢い人の代名詞というと、日本では聖徳太子や菅原道真がよく引き合いに出されますが、西欧ではソロモン王になります。このアルバムでも、Wise Oneとオーバーラップされています。
ソロモン王は大変な知恵者で、二人の女が赤ん坊を取り合った時、「剣でその子どもを半分に切って分け与えよ」と命令してみて、ハッと怯んだ方の女性を本物の母親とした、という“大岡裁き”の記述で知られています。
ソロモン王はその一方で、奥さん700人+愛人300人がいたという、女好きでも知られています。列王記にはその記述がありませんが、「女好き」というところが想像力を掻き立てるらしく、ロマンチックな外伝も伝わっています。

そのソロモンのように賢いWise Oneとペアになるのが、これまた賢さではひけを取らないシバの女王で、「列王記」では贈り物として大量の財宝をたずさえて、ソロモン王の元に知恵比べをしにやってきて、のちには国同士で交易をしたことになっています。
外伝では、ソロモン王は女王と「僕の近くに来たら、その時君は僕のモノ」という賭けをして、その一方で屋敷内の水飲み場を全て閉鎖、水が手に入るのは自分の寝室のみ、というある意味…な手段を用い、水を飲みに仕方なく忍び込んだ女王を捕まえ、とうとう思いを遂げた、というエピソードがあります。

(11/29/2001)
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Proverb of the 31 and verse 10 (Muse 2 the Pharaoh)

旧約聖書の「箴言」の31章10節を見よ、と歌詞にそのまま出て来ます。
旧約聖書は歴史、文学、預言という3つの分野に大別されることがありますが、この箴言は知恵文学と呼ばれる文学の分野に入り、詩編とともに、若者に知恵を授けるための伝承として伝えられています。
この 31章10節は「Who can find a virtuous wife?/For her worth is far above rubies.(NKJ)有能な妻を見いだすのは誰か。真珠よりはるかに貴い妻を。(新共同訳)」 という言葉で、「よい妻の条件」としてよく引き合いに出されるものです。(新共同訳ではrubyが“真珠”として訳されているのも面白いですね。実はヘブライ語のこの単語に対する訳が確定していないため、pearl-真珠としてあてられることがあります。)夜明け前に起きて家族のために食事の支度をし、畑で働き、夫を助けるために自ら商売をし、夜遅くまで手仕事で働くというその条件は十数項目に渡っています。

(12/03/2001)
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NATO is OTAN (Muse 2 the Pharaoh)

North Atlantic Treaty Organizationの略です。1949年、アメリカ・カナダと西ヨーロッパ諸国が、共産主義勢力に対抗するために集団防衛機構を結成しました。本部はブリュッセルにあり、各国の他国籍軍からなる北大西洋軍を管轄下に置いています。
冷戦が終わるとNATOはその存在意義と目的を失いましたが、1991年に「同盟の新戦略概念」が発表され、欧州・大西洋地域の危機管理へ任務を拡大することにより存続することになりました。1999年には旧東側と呼ばれていたハンガリー、チェコ、ポーランドが加盟し、2002年現在では合計19ヶ国が加盟しています。ただし、その任務の適用範囲、域外での軍事活動の決議権をどこにおくかなど、問題は残っています。それが最悪の形で反映されたのが1999年3月のNATOによるユーゴに対しての空爆だとされています。

OTANの意味はプリンスご本人にしかわかりませんが、前述のユーゴ空爆に対してNATOが世界中の避難を浴びていたこと、OTANの発音がSATANと韻を踏んでいることから、「何が善で、何が悪かはわからない」という意味で使用されています。

(1/3/2002)
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13 (Muse 2 the Pharaoh)

迷信の一つを指しています。13という数字はなぜか西欧では「大凶」を表す数字とされています。その理由としては、イエス・キリストが亡くなったのが13日の金曜日だったとか、裏切りを働いたユダが13番目の弟子だったとか、果ては13人で食事につくと必ずその一人は年内に亡くなるとか。諸説様々です。
さて、そんな13という数字ですが、アメリカ人ならしょっちゅうお世話になるものにも使用されています。これは想像に過ぎませんが、「よくない数」の迷信を跳ね返す引き合いに出されているのでしょう。
rainbow 1ドル札をひっくり返すと、右側にハゲワシの意匠が印刷されています。ワシの頭上には星(star)が輝き、その鉤爪(talons)には実(berries)のついたオリーブの枝と矢(arrows)が握られています。その星や、ハゲワシの爪に握られている実と矢の数はそれぞれ13ずつになっています。
つまり、歌詞の Then the berries, talons, arrows and starsに対応しています。
日々の経済を動かす紙幣のデザインに13という数を盛り込むことはちょっと不思議ですが、この意匠に使用されている13という数は合衆国が独立した時の植民地の数を指しています。ハゲワシは「死の象徴」ではなく、「嵐にもけして負けない勝利者」または、「頭に冠の毛をはやしていない−王冠を持つ英国から独立して飛ぶもの」の象徴であり、その力を象徴する鉤爪がにぎるのは、平和の象徴のオリーブの枝と、その平和を阻むものには敢然と闘うという意志の象徴としての矢です。ハゲワシがオリーブの方を向いているのは、「普段は平和を望んでいる」ことの象徴となっています。
この13に色付けられた象徴が「bad luck」なのか「good luck」なのかはお金を使う人、または読み手の想像にお任せします。
余談ですが、アメリカ合衆国憲法修正第13条の項目は奴隷制度と意に反する強制的な労働を禁止したものです。1865年に発効され、これにより合衆国全土における奴隷制の完全な廃止が宣言されました。

(11/26/2001)
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Like a thief in the night / My Lord come and strike (Muse 2 the Pharaoh)

新約聖書のの「テサロニケの信徒への手紙5:2」または「ペトロの手紙二-3:10」よりの引用で、世界がほろびさる時、つまり、最後の審判の日は「盗人が夜やってくるように」来るという表現から来ています。夜に忍び込む盗賊のように神の日が訪れるというイメージは一見するとよくはありませんが、この表現は、むしろ“その日はある日突然、だれも気がつかないうちにやってくる”という部分に重点がおかれています。

(12/03/2001)
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Love, like a rose in bloom (Digital Garden)

愛を薔薇の花に例える表現はたくさんありますが、スコットランドの詩人、Robert Burns (1759-96)の「O my Luve's like a red, red rose -我が愛は赤き赤き薔薇のよう」という詩がよく引用されます。

O MY Luve's like a red, red rose    (ああ、我が愛は赤き薔薇のように)
That's newly sprung in June!      (六月に生き生きと咲き誇る!)
O my Luve's like the melodie     (ああ、我が愛はメロディーとなり)
That's sweetly play'd in tune!       (甘やかな調べを奏でる!)
As fair art thou, my bonnie lass,  (汝が美しいように、我が愛らしき恋人よ)
So deep in luve am I;           (我が恋もまた深きもの)
And I will luve thee still, my dear,  (我は汝をより深く愛すだろう)
Till a' the seas gang dry--       (大海が干上がるその日まで…)

Till a' the seas gang dry, my dear,    (大海が干上がるその日まで)
And the rocks melt wi' the sun;    (そして岩が太陽に灼け落ちるまで)
I will luve thee still, my dear,      (我は汝をより深く愛すだろう)
While the sands o' life shall run.     (生命の砂粒が尽きるまで)
And fare thee weel, my only Luve! (ごきげんよう、我が唯ひとりの恋人よ!)
And fare thee weel awhile!         (しばしの別れを!)
And I will come again, my Luve,      (我はまた来る、恋人よ)
Tho' it were ten thousand mile.   (たとえ1万マイル離れていようとも)

(12/10/2001)
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whosepapers, hellavisions, and scagazines (The Work pt.1)

歌詞に眼を通した時、一瞬なんのことかわからなかったのですが、よくよく読めばそれぞれnewspaper(新聞)、television(テレビ)、magazine(雑誌)を引っ掛けていました。それぞれ意味のよくない罵倒語を頭にくっつけています。メディア嫌いのプリンスらしいといえばプリンスらしい。

(12/10/2001)
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Menda-City (The Work pt.1)

これも言葉遊びの一つです。mendacity「虚偽」という単語を二つに切って、架空の都市を作り上げています。

(12/10/2001)
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Garden (The Work pt.1)

エデンの園(Garden of Eden)と呼ばれる楽園を指しています。創世記では、神は東のある場所、エデンの地に一つの園(garden)を設け、そこに最初の人を住まわせます。そこで人間は働かなくても食べることができ、楽しい時を過ごすことができたとされています。

(12/10/2001)
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Eve (The Work pt.1)

アダムの肋骨からとられて作られた、最初の人間の女性だとされています。アダムと一緒にエデンの園(Garden 参照)に住んでいましたが、蛇の誘惑に負けて知恵の実を食してしまいます。それにより人間は「神への不服従」という原罪をおかすことになり、園を追われることになりました。
「Adam and Eve」というフレーズは「最初の人間」というニュアンスでよく使用されたりもします。

余談ですが、ヘブライの民間伝承では、Eveが創られる前にアダムにはリリスと呼ばれる天使が妻としてあてがわれていたことになっています。このリリスはアダムが彼女を意のままに扱おうとするのに反抗し、逃げてしまいました。結局神はアダムに従順な女性を造り出すことになり、それがEveになりました。つまり、Eveは後妻さんにあたります。

(12/10/2001)
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Where the milk and honey flow (Everywhere)

出エジプト記の、Land flowing with milk and honey(乳と蜜の流れる地)という表現から来ています。聖書の中では、神がモーゼに民を連れていくように命じた、食物が豊富ですばらしい約束の地として登場しています。転じて、「約束の地/恵まれた地」というニュアンスや、milk and honeyで「楽しいことや素晴らしいこと」の代名詞として使用されたりもします。

(1/27/2002)
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THE TREASURES OF THE RAINBOW CHILDREN

「虹の橋のふもとには宝(金の壷)が埋まっているが、その宝は誰も取ることができない」という俗信から来ています。

(1/3/2002)
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smorgasbord (Wedding feast)

日本では「バイキング料理」と訳される単語です。もともとはスカンジナビアの料理形式で、大皿にいれた料理をそれぞれ持ち寄り、皆で楽しむ料理のことを指しました。
1958年、帝国ホテルが日本で最初のスモーガスボード専門レストランをオープンし、このスタイルの料理を日本に紹介しました。北欧の海賊の名をとり「インペリアル・バイキング」と名付けて宣伝したところ、その「バイキング料理」という名前が料理名として日本では定着して今に至っています。
先日、仕事である施設の紹介文を翻訳する機会がありましたが「朝食は“バイキング”形式」「施設近郊に“バイキングスタイルのレストラン”あり」という文のネイティブチェックがそれぞれ“buffet meal”“smorgasboad restaurant”で返って来ました。
単語的にはホテルの朝食にだされる“バイキング”よりももっとゴージャスな、テーブルに美しく飾り付けられたオードブルやメインディッシュ、デザートなどを楽しむパーティ料理と言った方がいいかもしれません。

(1/3/2002)
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ONE CANNOT SERVE 2 MASTERS (Family Name)

山上の説教として知られるエピソードから来ています。

−No one can serve two masters; for either he will hate the one and love the other, or else he will be loyal to the one and despise the other. You cannot serve God and mammon. (Matthew 6:24 NKJ)
−だれも、二人の主人に仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛するか、一方に親しんで他方を軽んじるか、どちらかである。あなたがたは、神と富とに仕えることはできない。(新共同訳)

これは神と富の両方に仕えることはできない、だから、どちらの側につくのかをはっきりする必要がある、と説く場面です。
現在ではこの文は「二君に仕えることはできない」という慣用句になり、互いに相反するものや主旨を異にする原則を同時に成り立たせることはできない、という場合によく引用されています。

(12/10/2001)
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Tom Lynch (Family Name)

奴隷制の時代を彷佛とさせるシーンです。
16世紀後半に奴隷制は始まりました。新大陸の少ない労働力の担い手として、当初奴隷として狙われたのはインディアンでしたが、もともと小柄な彼らは激しい重労働に耐え得るような屈強な身体ではなく、しかも頑強に抵抗したため、自国の貧民階層の白人がその役を買うことになります。ところが、白人は逃亡しても他の人間と区別がつきにくく、しかも、“奴隷”といいつつも年期契約が普通でした。
そこで、肌の色が目立って逃亡できにくい黒人が売り買いされるようになりました。最初のアフリカ人がアメリカの地に連れられて来たのは1526年、商品として売買が始まったのは1619年でした。

連れてこられた黒人達にはもちろん自分達の部族の言葉の名前がありましたが、それを名乗る権利さえ取り上げられました。家畜や物のように、白人達が自分達の好き勝手な名前をつけたのです。名前には「呼びやすい」と言う理由でジャック、トム、ビルなどが圧倒的に多かったのですが、奴隷となっているものに侮蔑をわざと込め「プリンス」「キング」とつけることもありました。
Family Name(姓)は当時は奴隷解放の時までもちろんなく、やっとついた時にもありふれた姓を選んだり、主人の姓をそのまま継ぐこともありました。

「お前の名前は、これからは、トム・リンチだ」と曲の中で挿入されているシーンは、その時の情景を表したものです。Lynchは、文字どおりカタカナ英語の“リンチ(私刑)”を表しています。

(12/10/2001)
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Did we really come over in a boat? (Family Name)

メイフラワー号を指すものと考えられます。1620年、ピューリタンと呼ばれる宗教団体が信仰の自由を求めてイングランドからこの帆船に乗り、自由の地アメリカへ旅立ちました。全長27メートル180トン、といいますから、漁船よりもひとまわり大きいくらいです。それに102人がぎっしりと乗り込んでいました。中甲板船倉のたった167m2に詰め込まれていたそうですから、一人当りの居住分は畳一枚分くらい。よく我慢したものです。大西洋を渡りケープコッドに到着するまでほぼ2ヶ月かかっています。
その船上で交わされた契約は「メイフラワー契約(THE MAYFLOWER COMPACT)」と呼ばれ、その後の合衆国の政治の思想を左右するものになります。

(12/10/2001)
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Thanksgiving Day (Family Name)

1621年、ニューイングランドのプリマス(ボストン市の郊外)に移住したピューリタンの人々が初めての収穫を神に感謝し、先住民も招いて祭りを開いたのが始まりとされています。
この入植者達は元々信仰の自由を求めメイフラワー号にのってイギリスから移住して来た総勢102名の人々で、アメリカ創立の父祖、ピルグリム・ファザーと呼ばれています。
最初の入植者の感がありますが、その頃には既に他の人々も入植を始め、奴隷制度も始まっていました。
現在ではこのお祭りは11月の第4木曜日(カナダの場合は10月の第2月曜日)に行われ、1789年より法廷休日に定められています。七面鳥の丸焼きとパンプキンパイが食卓に並ぶ日でもあります。

(12/10/2001)
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Thomas Jefferson (Family Name)

アメリカ独立宣言を起草した、歴史的に有名な人物です。合衆国の第三代大統領で、民主的改革を推進したとされていますが、アフリカン・アメリカンの見地からはちょっと違っています。
その頃の白人の開拓者の例にもれず、ジェファソンは南部ヴァージニアの奴隷所有者でした。つまり、黒人奴隷は人間ではなく、財産とみなしていました。
かの独立宣言に謳われている、「人は皆平等につくられ、奪うことのできない権利を神によりあたえられている---We hold these Truths to be self-evident, that all Men are created equal, that they are endowed by their Creator with certain unalienable rights, that among these are Life, Liberty, and the Pursuit of Happiness--」という文はイギリスの専制政治を非難するものでありこそすれ、自分達の所有物である黒人は含まれていませんでした。
アフリカン・アメリカンが人間としての権利を認められるまでは、それから長い道のりを辿ることになります。

(1/27/2002)
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2 them u're still a spade (The Everlasting Now)

アフリカン・アメリカンの昔話から題材が取られています。
奴隷制時代に、ある黒人が奴隷として働いていました。彼は大変な努力と苦労を重ねてとうとう解放されましたが、自由の身となり歩き出したその黒人の背中に向かって元の主人は「But remember, you still a nigger(忘れるなよ、それでもお前は黒んぼなんだぞ)」と、その姿が見えなくなるまでずっと叫び続けます。
しかし、その黒人は黙って歩き続け、当時の自由の地であったカナダに辿り着いてやっと心からの自由を手に入れることができました。
他人から自分の事をあれこれと言われ続ける限り、その人間は自由とは言えませんが、それでも自分を信じひたすら歩き続け、他人から何を言われようとくじけたりしてはいけない、とこの昔話はしめくくられます。

現在、niggerという単語はひどい侮蔑を表す差別用語にあたるため、歌詞の中ではspadeに置き換えられています。トランプのスペードが黒いことから、黒人同士で自分達を呼ぶ時のスラングになりました。

(12/03/2001)
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